メモ・ドキュメント・データベース・タスク管理を1つにまとめられる多機能SaaS。導入から2年運用した編集部の正直なレビュー。
「Notion を入れたら社内の情報整理が一気にラクになる」とよく言われる。実際そのとおりの面もあるし、導入の仕方を間違えれば1ヶ月で形骸化するツールでもある。この記事では、編集部が約2年運用してきた所感と、中小企業が導入を判断するときに見るべきポイントを正直に書きます。
ざっくり言うと「Word / Excel / Confluence / Trello を1個のツールに圧縮した何か」。実際に触ると、最初は「自由度が高すぎてどう使えばいいか分からん」となる。これが Notion 最大のハードルです。
これが一番大きい。導入前は議事録が Google Docs、タスクが Trello、社内マニュアルが SharePoint、新入社員向け資料がメール添付、という状態でした。Notion に集約してから、「あの資料どこ?」のやり取りが消えた。地味だが、月で数時間が浮く感覚はあります。
過去に Confluence と Backlog を併用していた時期があるが、営業や経理メンバーが「使い方が分からない」と離脱していった。Notion はトップページの作り次第で「この記事を読んで」「このリンクを押して」が誘導しやすく、IT 苦手なメンバーでも閲覧側には回ってもらえる。書く側に育てるには、別途テンプレート整備が必要です。
Excel をデータベースっぽく使っていた業務(顧客リスト、案件管理、タスク一覧)は、Notion のデータベースに置き換えると見通しが一気に良くなる。同じデータを「ボード(カンバン)」「カレンダー」「タイムライン」と表示切替できるので、営業はカンバン、マネジメントはカレンダー、と部署ごとに見え方を変えられる点が効きます。
2024 年以降の Notion AI は、議事録の要約・タスクの抽出・英日翻訳が一発でできるようになった。会議録音の文字起こしを貼って「アクションアイテムだけ抜き出して」と頼むと、たいていそのまま使える。Notion AI は別料金(1人あたり月10ドル)だが、議事録だけのために契約しても元が取れる人はいます。
全文検索はあるが、ヒット精度はそこまで高くない。「あの議事録、3ヶ月前の」を探すのに何度か検索ワードを変えるハメになる。ここは Confluence や Slack のほうがまだ強い印象です。
モバイルアプリは Wi-Fi が切れた瞬間、書き込みが止まる挙動になる。出張中の新幹線で議事録を整理したい、という使い方は今でもストレス。これは2年使っていてもずっと不満が残っています。
タイムライン表示はあるが、依存関係や進捗率といった本格的な PM 機能は弱い。建設業や受託開発のプロジェクト管理を Notion 1本で完結させようとすると無理が出る。
1人ずつページ単位で権限を付けていく設計で、「人事だけは見られる」「経営層だけは編集できる」を厳密にコントロールしたい中堅以上の組織だと、運用がだんだん重くなる。エンタープライズプランで改善はされているが、200名超えるなら最初から SmartHR + kintone のような構成のほうが楽です。
| 用途 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 全社wiki+タスク管理を1本で | Notion | 守備範囲が広い |
| 開発チームの仕様書・議事録 | Confluence | エンジニア文化と相性◎ |
| 個人の知識管理・PKM | Obsidian | ローカル保存・Markdown |
| プロジェクト進捗のガント管理 | Backlog | 課題管理+ガントが標準装備 |
| AIで議事録要約・翻訳 | Notion | Notion AIが標準統合 |
| 非IT部門への展開 | Notion | UIが直感的 |
正直、社内の人数とフェーズで答えは変わります。10人前後のチームなら Notion 1本でだいたい間に合う。50人を超えてくると、「Notion + Slack + 専用 PM ツール」の組み合わせに進化していくのが自然な流れ。
| プラン | 月額(年払い) | 主な内容 |
|---|---|---|
| フリー | 0円 | 個人向け。ブロック無制限だが、ファイルアップロード5MB制限、ゲスト10名まで |
| Plus | 1人 10ドル | 小規模チーム向け。ファイル無制限、ゲスト100名 |
| Business | 1人 18ドル | SAML SSO、プライベートチームスペース |
| Enterprise | 要問合せ | 監査ログ、SCIM、ドメイン管理 |
| Notion AI | 別途 1人 10ドル | どのプランにも追加可能 |
円安の影響もあって、10ドルプランでも実質1,500〜1,600円/人/月になる感覚(為替次第)。20人だと年間36万円前後。これを「高い」と見るか「Excel と Word とメール添付の管理コストより安い」と見るかは、組織次第です。
Notion は Plus プランを7日間無料で試せます(2026-05時点)。まずは管理職3人くらいで使い始めて、社内 wiki と議事録だけ移してみるのが、社内浸透の鉄板パターン。
Notion 公式サイトで無料トライアル →個人事業主や2〜3人のチームなら現実的に使い続けられます。ただしファイルアップロードが1ファイル5MB制限なので、画像や PDF の貼り付けが多い業務だとすぐ詰まります。本格運用するなら Plus プランへ。
iOS / Android 公式アプリがあります。閲覧と簡単な編集は問題なし。ただしデータベースの構造変更や複雑なページ作成は PC 必須と思ったほうが楽です。オフライン編集はまだ不安定。
多くの会社が併用しています。メール・カレンダー・スプレッドシートは Google、ナレッジ・議事録・タスクは Notion、という棲み分けが一番平和な運用。Notion のページに Google ドキュメントを埋め込むこともできます。
Notion は「導入すれば解決」のツールではない。むしろ、最初の1ヶ月は「テンプレを作る・運用ルールを決める」という地味な作業が9割。逆に言うと、その地味な仕込みが終わると、3ヶ月後から「あ、Notion 入れて良かった」が来る。導入を急かして3週間で離脱した組織を何件か見てきたが、たいていは「テンプレを誰も作らないまま全員に開放してしまった」パターンでした。スモールスタート+テンプレ整備、これに尽きます。